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これまでの書評
誰に対しても需要なんてないと思うんですよ、この小説の書評って。
そもそもベストセラーとかじゃないし。映画もぽしゃったし。
でもね、読んであまりにひどいと感じたので、読んでから一年ぐらい経ってるのに、まだ怒りが収まらないわけですよ。
こんなことやってないでね、届いた漢詩大系の詩経上下を読めって話なんですよ。
でね、詩経読んだら、春秋読まないといけないんですよ。
衛の国やばいよ。人間関係がどうかしてるよ。
そうだ、武曲だ。
でもね、この書評書き終わらないと先に進めない気がするんですよ。
驚いたことにまだ四合目ぐらいなんですよ。
この小説はね、大人側に常識がないせいで「青春小説」じゃなくなってるんですよ。
そして「剣道小説」としても失敗してるんですよ。
かといって「HIPHOP小説」にもなってない。
「父帰る」みたいな親子の葛藤を描くのにも失敗している。
で、これね、改めて調べると、一番始末の悪いことに「剣豪小説」って言い張ってんですよ、売る側は。
「剣豪小説」って言いながら、舞台が現代ってなに?
「宮本武蔵」にしても「大菩薩峠」にしても、舞台は現代じゃないでしょ。
そりゃそうですよ、成立しないもん、そもそも。戦国時代でも幕末でもないし。
よしんばやるんだったら「餓狼伝」ぐらい、ありそうでありえない舞台設定を作ってくれよ。なんかこうさー、よく夢枕獏がやりそうな、将軍家を守るための剣術VS天皇家を守るための剣術! みたいなやつとかさ。
日本の中でもすごい権力者がついてて、治外法権だから殺し合いOKみたいな。
もう、あれだよ、武道館の地下に地下闘技場あることにしてくれよ。
宮本武蔵のDNAから体を作って、イタコのババアのキッスで目覚めさせろよ。
だいたいね、現代で剣豪をやろうと思ったら「殺し合い前提の闇試合」するしかないじゃん。
むしろ、なんで、強いやつに会いに行く形式の、闇試合をけしかけては相手の頭をかち割る、みたいな小説にしないんだよ。
「剣豪小説」ってなんだよ。
剣道の普通の試合すらしてないのに「剣豪小説」ってなんだよ。
結局あれだよ、狭いホモソーシャルコミュニティで、あーでもないこーでもない和尚さんありがとー、ってやってるだけなんだよ。
「大菩薩峠」なんて、あれだよ、主人公マジのサイコだからね? むしろ、そこが面白いんだよ。相手をその気にさせるためにあの手この手だよ。新撰組まで出てくるよ。冒険活劇でもある。
作者の中里介山なんてwikiまでおもしろいよ。
これを読むと、「大衆娯楽向け小説」の成立に、いかに自由民権運動や社会主義運動が関わってるかわかるよ。
つまり、「剣豪小説」ってもっと深いものなんだよ。
「剣豪小説」は娯楽小説なんだよ……。だったらちゃんとエンターテイメントをしろよ。
だったらちゃんと「大衆向け娯楽小説」を書けよ。
なんか、妙なところで芥川受賞作家面してるせいで「剣豪小説」に対してすごく失礼な態度になってんだよ。
「剣豪小説」に権威なんていらないんだよ。
「大衆向け娯楽小説」をちゃんとやれないってことは、やっぱり芥川賞作家って大衆を見下してるんだよ。大衆が喜ぶような漫画的展開をダサイとか頭悪いとか文学的じゃ無いとか思ってるんだよ。
でも、「大衆向け娯楽」に文化的に負けてるんだよ。品質も負けてるの。
ワンピースの方がよっぽど、そこらへんの文学ぶってる小説より、ストーリー構成にテクニックがあるんだよ。ワンピースっていう「世界の果てに 海賊王のお宝がある 自由を目指すなら それを狙いに行くんだ!」っていうテーマと謎と目的を同時に提示できるアイテムを作ったのはすごいんだよ。そして、よくある長期連載と違って、120巻で終わるって作者は言い張ってるんだよ。60巻が折り返しだと思うと、あそこでエースが死んだのはすごい構成なんだよ。
「シグルイ」だって南条範男の原作をすごく読み込んで形にしてるんだよ。そこにただ残酷なだけじゃなくて、封建社会のほうが人を切るより残酷だっていうメッセージがあるんだよ。
「大衆向け娯楽小説」である「餓狼伝」のほうが、よほど面白いし、ギリギリの戦いをしてるんだよ。
むしろね、本当に現代を舞台にして、「剣豪小説」をやるんだったら、すんっごく面白いですよ。ナンセンスだし、徹底的に法律や国家というものに喧嘩を売ることになるしさぁ。
もうあれだよ、かたっぱしから現代の強い剣士の頭をかち割りゃあいいじゃないか。相手をその気にさせるために、悪行の限りを尽くせばいいじゃないの。
そこまですると、映画「太陽を盗んだ男」みたいなナンセンスさが出てくるじゃない。最後はどっかの山小屋で立てこもって、自爆! みたいなさ。
なんかね、「何小説」として読んでもすっきりしないの。
こんなすっきりしない小説は無いと思うよ。
これ、下手な上に負けた小説なんだと思うんだよな。
「剣道」で書こうとして、失敗して、「剣豪」っていうことで誤魔化すみたいな。
つまり「剣道」っていう概念に負けたんだよ。この小説はさ。
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