XT100って言う富士フィルムのミラーレスカメラがあるんだけど、そのプロモーションで、プロカメラマンがゲリラ的にスナップ写真を撮るって言う宣伝をやったのね。
それがえらく炎上したの。
ただ、個人的にはそれが何がショックって、ライカをはじめとしたコンパクトカメラの文化って、スナップ写真、それもゲリラ的なスナップの手法の文化でもあるわけ。
つまり、写真館から写真というものが飛び出して、今ここにあるものを撮影すると言うのが、カメラが絵画と同等の芸術性を持つ理由でもあったわけ。
写真館の写真に作家性はありませんよね。その人に言われてその人の顔を真っ正面から撮っただけの写真は、うまい下手があっても、「その人だからこそ、その表現や題材」とはなりにくい。
ただ、XT100炎上事件は、カメラを趣味しているサイドからも擁護がなかった。
ついでに言えば、撮影者はそれなりの写真家である。
法律的にいうと、誰もが知る有名人でもない限り、肖像権はなかなか認められない。
外をぼんやり歩いている人を写真に撮って作品だと言い張っても合法である。
(だから、警察がデモ隊の人を撮影しても合法なんだよ)
そもそも、一昔前の写真雑誌を見れば、その手のスナップ写真に溢れている。
ストリートスナップ写真こそ、カメラ文化の本丸ではないか。
XT100のことは、このスナップ写真の限界が明らかになった事件でもある。
つまり、プライバシー意識が高まった結果、スナップ写真は撮りにくいものになっている。
そもそも、写真と社会との間には元から横たわる問題がある。
個人の肖像権もそうなんだが、建物の著作権の問題もある。
撮影禁止区間を写真で撮ると不法侵入にもなる。
建物の著作権の問題といえば、エッフェル塔とラスベガスだ。
正確にいえば、外側を外から撮って、写真に写っていても日本では著作権法違反ではない。
が、エッフェル塔やラスベガスの夜景は厳密にいうと「商用目的で使うならば、お前が取った写真でもダメだ」なんですよ。
世界にそういうことになっている建造物は意外と多い。
ルーブルの前のガラスのピラミッドとかもそうだ。
この流れは意外と主流になると思っていて、「多くの人がコレはナンとかの建物だ」とわかるような建物は写真に撮っちゃダメって言う時代は近いと思う。
有名建築家の建物は軒並み「ダメ」って言う時代は近い。
そのうち、写真を撮ろうと思ったら道路使用許可をいちいち取って、地域のフィルムコミッションに問い合わせて、建物の管理者に問い合わせて、一人ひとりに承諾を取って……という時代になるだろうか?
私はならないと思った。
そう、それは写真という文化が終わるときだからだ。
個人がスマホで取った適当な写真は世界に溢れ出るだろうが、作品としての写真は成立し難いことになっていくだろう。
外でカメラ持って歩いているだけで変質者扱いされる日も近い。
写真でお金儲けはしやすくなっているのに……とうか、しやすい環境が整ってしまったせいで、とも言えるけどね。
もうそろそろネットの情報は無料って時代も終わるんだと思うよ。
うん。
しかし、コレは、漫画や小説書きにとっても地獄の時代ではないか?
資料撮りに行って職質され、資料撮りに行って詰問され、資料使って怒られ、って時代に一歩近づいてないか?
ちょいと考えればわかることだけど、写真文化の発達と、劇画、映画みたいな漫画の誕生は関連性がある。有名漫画家のスタジオに、独自に集めた写真アーカイブがあるのは有名な話でもある。
写真をそのままトレースする手法もある。
しかし、写真がダメなら写真のトレースはグレーになっちゃわない?
ちょいとした文章を書いて、資料や挿絵として写真乗っけたらダメーみたいな時代が近づいてないか?
……じゃあ、作れば良いじゃん。
私が3Dモデルを自作して、それをレンダリングしたものなら、文句も言われないじゃん。
権利関係のようわからん写真はWEBには溢れているわけだし、それをそのまま作らなきゃ良いじゃん。
そして、ちょうどそこにBLENDERって言う無料ソフトがあったわけだよ。