アメリカのイエローストーン火山は60万年周期で噴火しているが、その周紀はとっくに過ぎている。
破局噴火の場合、半径1000キロ程度の人が一瞬で死に、アメリカ本土のほとんどの土地が火山灰で汚染され、耕作地の土の性質がまるきり変わってしまうと言われている。三日後にはその火山灰はヨーロッパに降り注ぐ。火山灰が空を覆い気候が寒冷化し、世界中の農耕に影響を与えるだろう。農業だけではなく、場合によっては宇宙開発、海洋資源、電子機器などに重大なインパクトを与える。
それは明日かもしれないし、1万年後かもしれない。
おそらく、人類の歴史上類を見ない自然災害になると思われる。
もし、近いうちに大噴火が起きたとしたら、ドル一強体制では、世界の貿易システムはズタズタになってしまう。
前々にも書いたが、貿易ができない方が戦争より多くの人が死ぬ。
それも飢え死にであるから、より一層、悲惨である。
そもそも、基軸通貨がそんなに重要なもんなら、ドルに匹敵するようなものが世界に五個ぐらいあってもいいじゃない、と思うんだが、事実上の基軸通貨はまずもってドルである。
そもそも、基軸通貨っつーものが、一神教的なシステムで、そもそも”多極”という概念と相容れないのではないか。
一神教対多神教みたいな話をしたがる言論人が多いが、一体何に神が宿っていて、一体何が暴力を振るっているのか。近代にそれを見出している言論人もいるが、そもそも多神教の国だって近代化している。
しかし、一神教的なシステムはあるのだ。
簡単に言えば、基軸通貨である。
ただのお金には神は宿らないのである。
それは基軸通貨が、絶対的なものを決めて、別のものを相対化するような性質のものだからである。
覇王は二人といらないのである。
しかし、基軸通貨発行国に住んでいる国民が幸福かと言えばそうではない。
前にも書いたが、基軸通貨発行国の経常赤字=その国の外に出回っている財産、であり、赤字=いいこと、なのだ。そんなことが一瞬で理解できるマクロな脳みそを持っているやつなんてそんなにいない。だいたいのアメリカ国民だってトランプの「日本や中国が俺たちを貧乏にしている」を信じているのだ。むしろ逆なのに。
貿易赤字の大国。
ミクロの視点では矛盾がいっぱいだが、マクロの視点ではそれでいいのだ。
基軸通貨国はマクロ経済学でしか動けない。それはつまり、内側と外側があべこべになり、普通の人には理解できない政治性質の国が出来上がる。自国の利益のためには世界中に豪華艦隊を派遣し、貿易なしでは存在できない小国のための傭兵にならなければならない。自国の内政を度外視しにて、世界中に貨幣を供給せねばならない。
ビクトリア時代のイギリスがさほど幸福な国ではなかったように、今のアメリカが幸福な国とは思えない。
アメリカ人がよくいう、古き良き時代、とは、ドルが基軸通貨になる前の時代だ。
同盟国はアメリカそのものには興味がないように思える。価値観にも、人にもだ。
今回のデモだって、CCTVより日本のTV局は報道するのが遅かった。
重要なのはドル体制であり、人には興味がないのだ。
ドル体制に従っている国々が求めているアメリカは、自由の国アメリカではない。安定の国アメリカであり、警察国家アメリカであり軍事国家アメリカである。
ドル覇権が常に揺らがなかったかと言われればそうではない。
ドルの最大のライバルはユーロだ。
しかし、ユーロの成功というのは、マルクとフランとポンドが三本の矢のように合体することが必要だった。
そこにポンドは入らなかった。イギリスの民意がそう決めたのだ。
結果としてユーロはパッとせず、ポンドもパッとしない。
イギリスが EUから抜けた今、ドルにはライバルがいないのだ。
火の鳥は火山に入って蘇る、その伝説のために、キリスト教圏では神の象徴とされているようだが、イエローストーンが爆発したとして、神は次、どこの何に宿るのだろうか。
それはそうと、トランプは悲劇の大統領で、あれが基軸通貨国の大統領でなければ、なかなかの人気者、ぐらいで終わったはずである。悲劇の原因こそアメリカが基軸通貨国であり、世界貿易に対して無限の責任を負わねばならない国だということである。そして、世界貿易の守護者でありさえすれば、後のことはある程度回るのがアメリカ大統領という地位でもある。
アメリカの再生っていうのは、もう、基軸通貨国である利権を最大限に生かして、上から目線のマクロ野郎の政治哲人政治を行うか、基軸通貨国をやめるかしかない。なお、基軸通貨国になれるかどうかは、もはや神のみぞ知る世界であり、すっごく限られた条件の国しかなれないので、勝手に辞めれるものでもない。おそらく内戦とか、そういう、とんでもないことが起きない限り無理だろう。
実際、アメリカが基軸通貨国になれた理由こそ、第二次世界大戦で、他の金融先進国がズタボロだった、っていう理由がでかい。そもそも、簡単なことでぶっ倒れそうな国の貨幣は基軸通貨にはなれない。
すっごく、皮肉なことに、諸外国からしてみれば、アメリカ大統領は国民の方を向いていなければいないほどいい大統領なのだ。都合が良いとも言えるけど。
大日如来とか、ああいうレベルの仏様とか神様になると、もはや恐怖心しか感じないのと同じだね。
世界の矛盾というのもここから始まっている。
基軸通貨国っていうのは、世界貿易がある日突然なくなっても、どうにか国が保たれるような大国しかなれないのだ。つまり、軍事と農業と工業を持ってる国だ。
そンな国が、世界貿易なしでは存在し得ない国の利権を守らねばならない。
その主従が逆転する時さえある。
で、今回のデモでは、多くの日本人が「欧米の意識高い系理解できなーい」みたいなことをいうわけだが、それこそ、我々が「加害者」だという証明みたいなもんで、ドル体制のためにはアメリカ国民には多少の矛盾を飲み込んでもらわないといけない。
そもそも、ミクロの視点から立ってみりゃ、あれだ、ロシアと中国の囚人を足した数より、囚人が多い国だ。それだけでどれだけの警察国家かわかるだろう。警察には黒人も200人以上殺されているが、白人も300人以上殺されている。毎日一人二人の人間が警察によって殺されている計算になる。そんなの、いつか暴れるだろう。
人間は自分が得をするように考えてしまうもんだ。
持たざる者が肌の色で争っているのは、最終的には金持ちの利益になる。少なくとも、その牙は人種間の争いで持たざる者同士がかみ合っている状態だ。
ウォール街はまだまだ平気な顔をしている。
格差を作っているのは一握りの金融家だ。
アメリカに高度に発達した金融業、つまり、ウォール街がなければ、ドル体制は維持できない。
ウォール街のウォールは本当にあそこに壁があったからだ。それもインディアンと白人を隔てるための。
アメリカ格差社会の受益者は、ドル体制に従う国々だとも言える。つまり我々である。
次がどこなんだろうが、ある日突然そこが消えたら世界中の貿易が危ないことには変わりがない。
例えば、日本円が基軸通貨になったとしても、日本には阿蘇山という爆弾があるのだ。
それに、私は、自国が世界に豪華艦隊を派遣し、世界中の国の傭兵になる、とか嫌だ。
しかし、全ては帳簿のためであり、全ては計算のためなのだ。
だったら、計算機がもっと高度になればいい。
全てが相対関係となればいいではないか。
しかし、これ書いている間、ずーと変なしゃっくりが止まらんのよ。なんでだろ。