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猫柳草庵

猫柳の隠れ里にある、庵です。 よろずのことを語るブログです。 政治やら思想やら宗教の話もするから苦手な人はスルーしてね。

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無題

 中流家庭の客間に全集が置かれる文化が確立したのは、その階層が裕福な少数派だった大正の円本ブームからですけど、私の手元にある全冊揃いで買った全集の出版年を見ると、ほぼ60年代後半から70年代なんですよね。中国古典選、中国古典文学大系、完訳日本の古典、漢詩大系、すべてそうです。(全部で送料込み4万円かかってない)
 この時代って高度経済成長から一億総中流と呼ばれる社会が確立した頃で、新興の中流意識を持った家庭がよく全集を購入して、日本史上一番全集が売れたのは、おそらくこの時期でしょう。当時はクラシックレコード全集などもよく売られており、訪問販売も盛んだったようですね。現在所持している「世界文学全集(グリーン版)」は唯一50年代に出版されているのですが、これが戦後の全集ブームに先駆けて出版されたもので、最初に挙げた全集はこの流行に乗じて出版されたもの。

 折口信夫全集などとは別に、記事の最初や先にコメントで挙げたような全集が特に安いのは、全集ブームに際して最初に購入されるようなもの、それに乗じて出版された戦後の全集だからだと思います。漢詩大系が比較的高値なのは、比較的狭い分野のもの(初めて買うような手広い全集から外れる)だからでしょうね。
 なので、そのあたりのものだと、もう孫以下には家自体が引き継がれないとか、維持できてないことが多いんじゃないかなー、と思ったりします。中流家庭自体が減ってますし、地方では空き家がめちゃくちゃ増えてますからね。消費社会化と家族解体から家屋さえ継がれないのだから、全集のみならず家財を継ぐこと自体がなくなってますし。このあたり、経済と社会、文化の連動を顧みるのに、興味深い材料だと思います。

Re:無題


 そうなんですよね。文化の連動が立ち切れていて、よく、Twitterの人は文化資本って言葉が好きですけど、文化資本が投げ売られている状況がヤフオクを見るとよくわかる。
 朱子の全集が結構なお値段をしたので、どれも高いんだろうな(と、いうより、神保町値段がしみついている)と思って、ダメ元で調べたらこれでした。しかし、全集の揃いがこんなに安くなったのって、ここ十年ぐらいな気がします。最近、神保町行って、「あれ、安くない?」ってなったので。
 ブームだったから、供給があるのもそうなんですが、文化の相続がうまく行ってないぞ、という感じもします。
 
 

  • 猫柳
  • 2020/10/05(Mon.)

書斎客間そしてヤフオク

今ね、ヤフオクで集英社の漢詩大系を買おうとオークション入れてるんでですけどね、なんと1万7000円なんですよねーー。これが朝日の中国古典全集だと5000円~、集英社 日本の古典は2000円~……。送料別。
 ヤフオクで全集を調べると、ウギャと叫びたいような値段ですよ。
 もちろん、安すぎない? って意味で。
 よくよく商品を見ると、小口も綺麗だし、箱がぼろいぐらいなんだよね。
 
 岩波版夏目漱石全集とかも、一昔前の神保町なら考えられない値段になってるし。

 相場を見ると、近現代の作家全集なら数千円から4万ってところだね。昔はこれで10万ぐらいしたんだけどね。そもそも、一冊単位で見ると、5000円〜ってぐらい造りのいい本だから当然だったんだけど。
 それでも、岩波の出している全集は高めだね。その代わり製本がいいのよ。これが。

 まず、場所がないからーーーていうのもあると思うんだけど、結局これ、どっかの爺さん婆さんが持っていたものを、孫とかが「置き場所もないし、いらねっ」って古本屋に捨ててるんだと思うんだよね。
 あと、名作歌舞伎全集は揃えでは見つからないけど、明らかにどっかの図書館からの流出本が売ってる。
 うーん。

 で、驚くのは、哲学や思想の全集ね。プラトン全集とか。
 これ、古書店で買うと高いのよ。


 昭和の頃は、そこそこいい家だと、客間とか書斎があるもので、そこに全集を置くっていう文化があったと聞くわけです。(もちろんそんな余裕のない家ばかりだったんだろうけどね)
 中流家庭のステータス的なものとして全集があったんですよね。
 今、そういうのもないからねー。
 邪魔っちゃ邪魔だしねー……。

 さっき見たら折口信夫全集1万5000円だってさ。

 なんかで当てて京極夏彦みたいな家に住みてーな。家全体が本棚みたいな家。
 
 


 で、ま、転売の話なんですが、なんつーのか、自分が被害を受ける側なんで、嫌なのはわかるんだけどね?
 でも、転売ヤーもわかないようなジャンルって……って、こういう趣味を持つと思うんですよね。
 漢詩とか読む人……死んでく一方なんだろうなーって……。

 うぐぐ。

 
 
 
 
 
 
 
 

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無題

 中流家庭の客間に全集が置かれる文化が確立したのは、その階層が裕福な少数派だった大正の円本ブームからですけど、私の手元にある全冊揃いで買った全集の出版年を見ると、ほぼ60年代後半から70年代なんですよね。中国古典選、中国古典文学大系、完訳日本の古典、漢詩大系、すべてそうです。(全部で送料込み4万円かかってない)
 この時代って高度経済成長から一億総中流と呼ばれる社会が確立した頃で、新興の中流意識を持った家庭がよく全集を購入して、日本史上一番全集が売れたのは、おそらくこの時期でしょう。当時はクラシックレコード全集などもよく売られており、訪問販売も盛んだったようですね。現在所持している「世界文学全集(グリーン版)」は唯一50年代に出版されているのですが、これが戦後の全集ブームに先駆けて出版されたもので、最初に挙げた全集はこの流行に乗じて出版されたもの。

 折口信夫全集などとは別に、記事の最初や先にコメントで挙げたような全集が特に安いのは、全集ブームに際して最初に購入されるようなもの、それに乗じて出版された戦後の全集だからだと思います。漢詩大系が比較的高値なのは、比較的狭い分野のもの(初めて買うような手広い全集から外れる)だからでしょうね。
 なので、そのあたりのものだと、もう孫以下には家自体が引き継がれないとか、維持できてないことが多いんじゃないかなー、と思ったりします。中流家庭自体が減ってますし、地方では空き家がめちゃくちゃ増えてますからね。消費社会化と家族解体から家屋さえ継がれないのだから、全集のみならず家財を継ぐこと自体がなくなってますし。このあたり、経済と社会、文化の連動を顧みるのに、興味深い材料だと思います。

Re:無題


 そうなんですよね。文化の連動が立ち切れていて、よく、Twitterの人は文化資本って言葉が好きですけど、文化資本が投げ売られている状況がヤフオクを見るとよくわかる。
 朱子の全集が結構なお値段をしたので、どれも高いんだろうな(と、いうより、神保町値段がしみついている)と思って、ダメ元で調べたらこれでした。しかし、全集の揃いがこんなに安くなったのって、ここ十年ぐらいな気がします。最近、神保町行って、「あれ、安くない?」ってなったので。
 ブームだったから、供給があるのもそうなんですが、文化の相続がうまく行ってないぞ、という感じもします。
 
 

  • 猫柳
  • 2020/10/05(Mon.)

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